小売店舗兼都市型物流倉庫祭(スーパーマーケット×Amazonプライム)

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フーマー「盒馬鮮生」を知っていますか?

誤解を恐れずに書くと、
「小売店舗兼都市型物流倉庫祭」

です。もっとわかりやすく言うと
「すごく楽しいスーパーマーケット付Amazonプライム

です。

深センで最も感動しました。


もし深センに行こうと思ったなら、もしフーマーに行こうと思ったなら「必ず」読んでから行ってください。
わからずに行くと、そのすごさがわからず単なる「セルフレジのある楽しいスーパーマーケット」で終わってしまいます。

「フーマーは上海で生まれたアリババのスーパーであり……」的な記事は探せばたくさんあるのでそこは他に任せておくとして、この記事では、フーマーでの購買体験がどれだけすごいのかを実際のお客さま目線で解説していこうと思います。

①まず、営業時間を見てください。
上段が平日の営業時間、中段が土日の営業時間、そして、下段が配達可能時間です。
基本、この物流倉庫からの配達を想定しているので「配達可能時間」の記載があります。

②次に店舗の前に貼っている看板を見てください。
そして、看板を見てください。
Amazonプライムのような会員向けの特典が載っています。
この日は、会員だと無料でもらえるものがあり、優待感はAmazonプライムを超えます。
Amazon同様年会費制度で200元程度(約3000円)の会費です。
会費代金のもとはすぐに取れます(ちなみに会員にならないと買えません)。

③中に入るととてもたくさんの人であふれています。
「中国はどこでも人であふれているよ」と言われそうですが、他のデパートやスーパーにはこの活気はありませんでした。
人が集まる要素として、私が考えているのは「鮮度」「楽しさ」と「便利さ」の3つだと感じています。

まず、「鮮度」です。
肉、野菜、牛乳、卵にはパッケージに大きく数字が書かれています。
これは陳列された曜日を表します。
私が訪問したのが土曜日だったので、土曜日を表す「6」という数字が書かれていました。
さらに、魚介については、なんと活きています。エビ、魚、貝、生簀から取って購入します。ちなみに購入した商品はそのまま買って帰ることも捌いてもらうことも、調理してもらってその場で食べることもできます。

これは「楽しさ」にもつながっています。
とてもテンションが上がります。魚介以外にも調理した食品の屋台が並び、買いにきたつもりがついついそこで食べて帰るということにもなりそうです。

最後に「便利さ」です。
いわゆるセルフレジは当然にあります。
フーマーの店舗から3キロ以内は、注文から30分程度で(30分以内とは言っていない)無料配達してくれます。
まさにAmazonプライムです。
ただ、利用方法としてはAmazonはネットで注文して家に届くだけですが、フーマーでは例えば、現地に行って、欲しいものを選んで、スマホで注文、自分が帰ったときにはちょうど届いているという使い方もできます。
ちなみに注文した商品は「ピッカー」と呼ばれる人がスーパーの店舗内を回ってピックアップしていきます。バックヤードから取ってくれば良さそうなものですが、表に出してあるものと裏から出てくるものは商品が違うと疑う人がまだいるようで、こういった点はいまだに中国。というところなのでしょうか。
店舗にもよるのですが、深圳で私が訪問した店の場合、店舗の上にピッカーさんが詰めた袋がベルトコンベアで運ばれているのが見えました。
ピッカーさんが詰め終わると、それが店舗の上でこれ見よがしに運ばれていき、最後は配達員の待機所にたどり着きます。
このライティングの意味はさすがに私もわかりませんでしたが、到着するや否や、配達用の箱に詰め替えられ、一瞬のうちに荷物を載せた電動自転車で走りだしていきます。

一つ一つの要素はそれほど先進的なことではないと思います。
要素の組み合わせ、掛け合わせがこの価値を生んでいる感じました。
ただ、単なるオムニチャンネルとかそういったものでない感動がここにはあります。
なのでフーマーに行ったときには、そういった点を一つ一つ理解して見てくると日本のビジネスの課題が見つかるような気がします。

なお、私が訪問したフーマーのお店はここです。


余談ですが、フーマーの無料配達エリアは不動産価格が上がると聞きました。
日本では再開発で地価が上がるとかはあると思いますが、OKストアが出店するからといってそれほど不動産価値には影響は出ないでしょう。

周辺にリアルな影響を与える単体開発。そんな不動産の考え方の可能性についても考えさせられる施設でした。